クリスマスなどのパーティでよく使われるローストビーフですが、妊娠中には食べてもいいのでしょうか?
完全に火が通っている食べ物ではないので悩みますよね。
完全に火が通っていないと言えば、スモークサーモンや生ハムはどうなのでしょうか?
この記事では、妊婦さんはローストビーフや生ハムを食べてもいいのか、また、どういったリスクがあるのかについて紹介します。
ローストビーフは妊娠中は加熱する?どんなリスクがあるの?
結論から言うと、妊婦さんはローストビーフを食べるのは止めておきましょう。
ローストビーフは、日本の食品衛生法の加熱殺菌基準の分類で「特定加熱食肉製品」に当たります。
「特定加熱食肉製品」とは、肉の中心部温度を63℃で30分間加熱する方法よりも加熱殺菌の程度が低い食肉製品です。
ただし、「特定加熱食肉製品」にも、肉の中心温度が60℃の場合は12分以上など、加熱殺菌の条件はあります。
ローストビーフは、肉の旨味や柔らかさを保つために、できるだけ加熱は控えるように調理されています。
ところが、牛肉や鶏肉には、トキソプラズマ原虫という細胞の中に寄生する微生物がいる可能性があるのです。
このトキソプラズマへの感染を防ぐためには、中心部が67℃になるまで加熱、もしくは-12℃になるまで凍結しないといけません。
ローストビーフは、美味しさを十分に発揮するために、先ほどにも言った通り加熱殺菌の程度を控えめにしているため67℃に達していません。
妊婦さんが食べることをお勧めしない食品リストに、ローストビーフが含まれていることからも、妊娠中にローストビーフは食べないようにしましょう。
パーティーなどで出したい時は、妊婦さんの分はしっかり加熱するなどの対処が必要です。
もし、トキソプラズマが体内に入り込んでしまった場合は、どうなるのでしょうか?
健康な人の場合は、感染しても無症状か少し発熱がある程度で、治療の必要はありません。
しかし、妊娠中に初めてトキソプラズマに感染した場合、約30%の確率で胎児にも感染すると言われています。
そして、感染した胎児の15%程度が、先天性トキソプラズマ症を発症するとの研究結果があります。
30%の15%なので全体の4.5%ですが、約20人に1人が発症すると考えれば無視できない数値ですよね。
もし、お腹の子が先天性トキソプラズマ症を発症してしまうと、流産や死産の可能性が高くなってしまいます。
さらに、産まれてからも「水頭症」「視力障害」「脳内石灰化」「精神運動機能障害」などの症例が報告されています。
その他、「リンパ節腫脹」「肝機能障害」も起こりうると言われています。
胎児がトキソプラズマに感染するのは、妊娠後期になるほど確率が高く、妊娠初期では感染率はそれほど高くありません。
しかし、妊娠初期に感染した場合には、重症化することが多いようです。
ちなみに母体は免疫力があるので、健康な人と同様、無症状の場合が多いです。
大切な赤ちゃんを健康に生んであげるためにも、妊娠中だけはローストビーフを食べるのは控えておきましょう。
ローストビーフでなくても、ビーフステーキ、ローストチキンなど、しっかり加熱した美味しい食べ物もたくさんあります。
妊娠中はこれらの食べ物に変更してみてはいかがでしょうか?
>>>ローストビーフのリメイク料理は?生焼けの対処法も紹介!
妊娠中には生ハム・スモークサーモンも危ない!?
妊娠中にローストビーフを食べると、トキソプラズマに感染する可能性があると紹介しました。
実は、生ハムやスモークサーモンも妊娠中にあまりオススメできない食べ物です。
生ハムについては、スペインの研究でトキソプラズマが死滅していると報告されいます。
しかし、これは「40ヶ月以上乾燥熟成させたイベリコ豚の生ハム」という限定されたものとなっています。
つまり、それ以下の条件で保存された生ハムには、トキソプラズマが残っている可能性があるということです。
菌が残っている可能性があるものを、妊娠中に食べるのは避けたいですよね。
なので、妊娠中は生ハムもやめておきましょう。
そしてスモークサーモンですが、スモークサーモンにもリステリア菌という菌がいる可能性があるのです。
妊娠中にスモークサーモンを食べて、もしリステリア菌に感染してしまったら、流産や早産、死産の可能性も出てきます。
実は妊婦でなくても、厚生労働省から「気をつけるべき食品」として、スモークサーモンが挙げられているくらいです。
妊娠中なら、なおさら食べない方がいい食品ですね。
クリスマスやパーティには、ローストビーフ、生ハム、スモークサーモンと美味しいものがたくさん出てきます。
しかし、出産した後に楽しむということで、妊娠中はやめておきましょうね。
妊婦はローストビーフを食べてもいいのかまとめ
妊娠中にローストビーフを食べると、トキソプラズマに感染する可能性があることがわかりました。
あくまで可能性というわけですが、妊娠中ですから、より深く注意しておきたいところですね。
もし、トキソプラズマに感染してしまった場合、恐ろしい病気につながり、赤ちゃんの健康が損なわれる可能性があります。
早産・流産・死産の原因となることもあるので、妊娠中は食べるのはやめておきましょう!